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取説(取り扱い説明書)を読まない人は多い。 かくいう私もあまり読まないが、 それは読まなくても困らないからである。 問題なのは、読まないと困るはずの人が 読まないときである。 飴を食べていた妻がいった。 「あっ。歯に詰めていたのがとれた……」 あぁ。やったよ。この人。いい歳して。 普通、そういうのは子供がやるんだよ。 しかも、すぐには気付かず、 なかなか溶けない何かがしばらくの間、 口の中に残っていたという。 そりゃ異物だろっ! 私にだって覚えがある。小学生の頃に……。 ミルキーとかで……。 一度やれば懲りるんだけど……。 その飴の袋にはこう書いてある。 『お召し上がりの際には歯の詰め物(金属)等の 脱落に注意してお召し上がりください。』 せっかくの注意書きも、取説を読まない人に対しては無力である。 同じ飴の袋には、続いてこう書いてある。 『本品は金属探知機を使用して製造されています。』(原文まま) 金属探知機を使用して飴が製造できるとは初耳である。 これは、おそらく、 「本品は金属探知機を使用して 【金属片が混入しないように、ちゃんと品質検査をして】 製造しています。」という意味と解釈したい。 この何気ない「注意書き」から以下のやりとりがあったことがわかる。 1.この飴を食べた人がいた 2.その人の歯の詰め物がとれた 3.最初から飴に異物が混入していたと誤解して 「おたくの飴に金属片が入っていたぞ!!!」という電話をかけた 4.「その金属片は、あなたご自身の歯の詰め物(金属)ではないですか?」 と担当者は答えた 5.「そう言われれば、確かにそうだ」と客は納得した 6.この手の電話があまりに多いので、 担当者は、飴の袋の裏に先の注意書きを記載すべき と社長に進言し、採用された。 飴の製造、そんなに甘くはない。(安易なオチ) |
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