懐 プ ラ 世 代
                           
 俺が小学生の頃は、毎週一箱プラモデルを製作してい
たものだ。細かい部品が多い戦艦を除いて、自動車、船
舶、航空機、戦闘機、潜水艦、建築物(城とか金閣寺、
茶店、屋台物)など、たいていのものは作った。そうし
た実在するもの以外にも、サンダーバードの各号、とく
に2号はサイズ違いも作った。当時は、すべて即日仕上
げであった。(クリーニングかよ)
 ところが、大人になってからプラモデルを作るとそう
はいかない。限られた時間の中で、細部にこだわり、各
部品のバリを取り、完璧な作りを目指し、開かないボン
ネットが開くように改造したり、プラ板で自作の部品を
作ったりして、一週間くらいかかってしまう。
 しかし、壊れやすさは同じなので、そうして本気で作
ったものとて現存するものはない。はかないものだ。
 戦車のプラモデルは難易度が高い。キャタピラがとれ
たり、キャタピラが切れたり、キャタピラがきつくて動
かなかったり、キャタピラがゆるくて空回りしたり、キ
ャタピラの柔軟性がなかったり、するからだ。でも、そ
うした苦労は報われる。座布団の丘を走破したり、積み
木のビルへの攻撃などは、他のプラモデルではできない。
 秀逸だったのは連結戦車だ。その名の通り、2台の戦
車が連結している。
 それのどこがすごいのか。
 階段とかを上っちゃうのである。車を作ると走行のた
めには平坦で広い場所が必要だが、この連結戦車は、ど
んな障害物でも平気な顔をして(実際には顔はついてい
ない。機関車トーマスじゃねぇってばよ)乗り越えて
しまうトンデモナイ戦車なのだ。もし、こんなものが実
在したら、すごいんじゃないですか? 陸自さん。


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