≠″ャ 」レ 文 字├″ッ ├ ]厶
たいくつな電車の中でもだいじょうぶ。どこでも読める短めコラム
人間として最高!もくじ

実は出る部屋

これは実話である。

もう、その老朽化したビルは取り壊されたので、その部屋はすでに存在しない。

そのビルは、ある団体が全フロアに入居していたが、なぜか最上階だけは、どの部屋も空き部屋になっていた。

半年の間、その最上階の一室を作業部屋として指定され、俺は一人で資料を作成する仕事をしていた。

毎日、その日に出来上がった分を持って2階へ行き、担当者の机に置いて帰る。

もともと人嫌いなので、個室での孤独な作業には何の抵抗もなかった。

むしろ、周囲に気遣うことなく、作業だけに集中できる恵まれた環境だった。

やがて、充実した任務は完了の日を迎えた。

送別会ということで、スタッフの方々がランチをご馳走してくれることになった。

「○○さん、これまで"あんな部屋"で一人離れて仕事をしてもらって、すいませんでした」
「いえいえ、おかげさまで集中して仕事ができましたよ。とても静かで眺めもよく、最高の環境でした」

食事も終わり、ゆっくりとコーヒーを味わう至福の時間。

「ところで、何か変わったこととかはありませんでしたか?」
「変わったことって、例えばどんなことですか?」
「何もなかったのなら、別にいいんですよ………。別にね」

「そういえば、こちらに来たばかりの頃、ある人から同じような質問を受けた記憶がありますよ。その人は何が心配なのかときどき私の様子を見に来ていましたね。仕事をサボっていないか見に来てたのかなぁ。はははは………」

「ああ、やっぱり………」
「え?『やっぱり』って、何かあるんですか?あの部屋。別に雨漏りとかはしませんでしたけど?」
「いやぁ、最後の日だから言いますけどね、実はあの部屋出るらしいんですよ」
「出るって、幽霊とか?」
「ええ、あなたの前任者は契約途中で『見える』っていって急にやめてしまって………」
「で、私が呼ばれたと………」

そういうことは
最初に言ってよぉ〜〜〜〜〜っ!


Copyright ©2004 www.gal-moji.com. All rights reserved.
ギャル文字ドッドコム