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たいくつな電車の中でもだいじょうぶ。どこでも読める短めコラム
アモルの持ち方もくじ

これだからコールセンターの仕事は……

コールセンター。夜遅くの当番。(おそらく)酔っ払いからの電話を受けた。



「うぉりゃ!」

----お電話ありがとうございます。コールセンターの○○と申します。

「うぉりゃー! ○△♯□▽ーーー!(聞き取り不能)」

----お客様のお電話番号をお聞きしてよろしいでしょうか。

「わかってんだろぉーー! このやろぉーーーー!」

----ご用件をおうかがいしてよろしいでしょうか。

「もう3回も電話してんだよ、こっちは。眠いんだよ!」

----たいへん申し訳ございません。いままでの記録を確認しますので、お客様のお電話番号をお聞きしてよろしいでしょうか。

「うりゃーー! 自分で調べろ!」

----お客様のお電話番号をお聞きしないと、先に進みませんので、よろしいでしょうか。

「よし。じゃあ、いうぞ! XXX-XXX-XXXX」

----少々お待ちください。………はい。たしかに本日お昼ころから3度もご連絡いただいているのにもかかわらず、お届けできておりません。たいへん申し訳ございません。

「うりゃ! ………。」

----誠に申し訳ございません。

「………。で、いつ来るんだ? え? もう最初に連絡してから7時間経ってるんだぞ」

----申し訳ございません。すぐに行くように手配いたします。

「来るのは当たり前だ。もう3回も電話して7時間かかってるんだからな。いったいあと何時間待てばいいんだよ俺は」

----申し訳ございません。早急にお届けするように手配いたします。

「早急にじゃなくてだな、俺はいつ来るのかってのを聞いているんだよ」

----遅くとも夜9時までには、とお答えするところですが、もう3回もお電話いただいて7時間もお待ちいただいていることからしてですね、これはもう大至急でうかがうようにいたします。

「だから、その大至急ってのは何分後だ? え? もう3回も電話して7時間なんだからな。いつなんだよ来るのは?」

----はい。たしかにもう3回も電話いただいて7時間もお待ちいただいております。誠に申し訳ありません。いまそちらに向かっている担当のものから、何分後に着くかをお電話をさせていただきます。よろしいでしょうか。

「それがな、よろしくないんだよ」

----と、申しますと?

「俺はもう寝るんだ。だから電話には出られないの」

----では、15分ほどお時間をいただけますでしょうか。必ず電話させます。

「ということは、おまえは俺にあと15分間、起きてろっていってんのか? え?」

----はい。

「ばかやろう。俺は夜勤で夜中の12時には起きなくちゃなんねぇんだよ。寝る時間があと5時間しかねえんだぞ。フツウに夜寝て朝起きてるおめぇらみたいなやつとはワケが違うんだよ。起きらんなかったらどうしてくれるんだ? え? 俺が寝坊して仕事に行けなかったら、おまえ責任とれんのか? え? どうだ?」

----ではー、今日はもう遅いので、いったんお休みいただくとして、明日以降で、お届けできるお時間をお約束するということで、よろしいでしょうか。

「てめえ、おれはその荷物を今日届けてもらいたいんだよ。そのためにいまこうして眠いのガマンして電話しているのがわからねぇのか?」

----わかります。そのお荷物を少しでも早くお届けするために配達を担当しているものにいますぐ連絡しなくてはなりません。何分後にお届けできるかはその担当者からお客様に電話をいたします。よろしいでしょうか。

「だから、俺はもう寝るんだっていってんだろ。そいつがいくら電話してきても出れないんだよ。何回いったらわかるんだよおめえは」

----では事前にお電話せずに、お届けするということでよろしいですね。

「だからーー、俺はもう寝ちゃうよっていってんだろーがよーーー。ピンポーーーンって鳴らされても出られないんだよーーー」

----わかりました。ではどのようにお届けすればよろしいでしょうか。

「俺んちのドアの前に置いてけ!」

----あー、それはできないんです。だれかが持ち去ってしまうかもしれませんので。

「いいよ。だれかが持ってっても。もし、明日、ドアの前になかったら、ああ、だれかが持ってっちゃったんだなって思うだけだ」

----私どもといたしましてはお客様のお受け取りのサインか判子をいただかないことには配達を完了したってことにならないんです。

「いいんだよそれで。そっちで勝手にサインでもなんでもしておけ」

----ん〜ん。

「なにが、ん〜んだ! 俺がいいっていってんだからいいの! なかったらなかったであきらめる。おまえらのせいにはしねえよ」

----ん〜ん。

「なにが、ん〜んだ! 俺がいいっていってんだろっ!」

----では、これはあくまで一つのご提案なのですが、私はまだこの仕事を初めて日が浅いものでして、上の者が代わってご説明するということでよろしいでしょうか」

「てめえ、逃げる気か。おまえが新米かどうかは俺には関係ねぇ。どうせまた同じこと説明するんだろーが」

----そうですね。では、引き続き私が対応させていただきます。

「うりゃ!」

----のちほど、お客様のサインをいただくことなくドアの前に置いていくことが可能かどうかについて配達担当のものから電話をいたします。

「いつだよ。1分後にか? いっとくけど俺はもう寝るんだよ?」

----ん〜ん。

「なにが、ん〜んだ!」

----お電話をするのに15分いただけないでしょうか。

「15分以内に電話がかかってこなかったら、おまえ責任とれんのか?」

----責任はとれませんねー。

「じゃあなんで、15分以内にかけるっていったんだ? え?」

----そういえば、この話が終わるかなと……。

「おまえ、この電話を終わらせたいのか?」

----はい。

「おまえ、何歳だ」

----お答えできません。

「なにをぉーーーっ? 俺の質問に答えられないだとぉーーっ?」

----はい。業務に関係のないご質問にはお答えできかねます。規則でして。ちなみにお客様はおいくつですか?

「ん? 俺か? 俺は昭和38年生まれ」

----では、だいたい同じくらいですよ。

「てめ、じゃ、俺はなに年かいってみろ」

----えーーーーっと、うさぎ年ですよね?

「なにがエートだ。ダジャレいってんじゃねぇぞ。てめ、うそつくなよ。なに答えるのに時間かかってんだよ」

----同い年とはいっていません。同じくらいといったんです。ところで、早く配達担当に電話しないとどんどんお届けが遅れてしまいますよ。

「ああ、そうだな。おにいちゃんもたいへんだな。でもこれだけはいっとくぞ。俺はクレーマーじゃねぇんだぞ。こっちに悪いところはないんだからな。それはわかるな」

----はい。もちろんです。お客様から3回もご連絡いただきながら7時間もお待たせいたしておりまして、たいへん申し訳ございません。私がお客様と同じような状況であれば、やはり怒ります。本来であれば、最初のお電話から遅くとも2時間以内におうかがいするところです。すぐにお届けするように手配いたしますので、よろしくお願いいたします。

「だからーーー、俺はもう寝るんだっていってんだよーーー。もう何度同じこといわせるんだっつーのーーーー。ピンポーーーーンって鳴っても出られないんだよーーーぉ」

----わかりました。とにかくお届けすればよろしいんですね。

「そうだ。俺んちのドアの前に置いてけ!」

----そうしたお届け方法が可能かどうかは、配達担当のものから電話をいたします。

「いつだよ。俺はもう寝ちゃうんだよ? 電話に出れないんだよ?」

----ん〜ん。お電話をするのに15分いただけないでしょうか。

「15分以内に電話がかかってこなかったら、おまえ責任とれんのか?」

----責任はとれませんねー。

「じゃあなんで、15分以内にかけるっていってるんだ? え?」

----おそらく、担当のものは15分以内にかけるだろうということで……。

「じゃあ、もし15分経ってもかかってこなかったら?」

----その場合は、もう少しお待ちいただけないでしょうか。

「おめ、俺をずっと寝かさねぇ気か? え? 怒るよ」

----いえ、そういうつもりではないのですが。

「じゃあ、どういうつもりだ」

----とにかく、本日中にお届けできるよう最善を尽くします。

「今日中って何時だよ」

----夜9時です。

「てめ、あと2時間近く俺に起きてろっていうのか? え?」

----いえ、本日中というのが何時までかというご質問に対するお答えです。

「じゃ、絶対に夜9時までに来るんだな」

----絶対ではありませんよ。

「なーーぁにーーぃ? 夜9時過ぎるってぇのか? え?」

----はい。実際の話、昨日、私あての荷物、9時までのはずが9時40分に到着しました。

「おいこら! おまえうそつくな。どうせ作り話だろ」

----いえ、これは本当の話です。30分くらい過ぎちゃうことはたまにありますよ。ここだけの話。

「このやろ、困るんだよそんなことじゃ。そんなことで世の中が通用するとでも思ってんのか? え?」

----そうですねーー。時間は守らないといけませんよねーー。ところで、お客様、こうしている間にもお休みになる時間が減ってしまいます。少しでも早くお届けできるように、担当のものに連絡をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

「よし。じゃあ何時に来るんだ」

----できるだけ早くお届けするように伝えます。

「だからー、そのできるだけ早くってのは何分後だ? もう3回も電話して7時間も経っているんだからな。いつなんだ? そいつが来るのは」

----何分後にお届けできるのかは、いまここでお客様と電話している私にはわかりません。実際に配達する担当のものからご連絡させていただきます。

「それは何分後だ?」

----15分くらい、いただけないでしょうか。

「15分以内に電話がかかってこなかったらどうすんだ。俺、寝ちゃうよ。え?」

----では、お客様がお電話に出られなくてもお届けいたします。よろしいでしょうか。

「それがな、よろしくないんだよ。俺はもう寝るんだ。だからピンポーンって鳴ったって出られないの。すでに寝ちゃってんの」

----その場合は、ご不在票というものをお客様の郵便受けに入れさせていただきます。お手数ですが、明日、お受取り可能なお時間についての連絡をお願いいたします。もしくは、お客様のご都合の良いときに配送センターに取りに来ていただくことも可能です。

「こら! そんなめんどくさいことできるか! つべこべいわずに今日中に俺んちのドアの前に置いてけ!」

----それはできないんです。お届けしたということになりませんので。

「俺がいいっていってんだよ。あんたのせいにはしないよ」

----ん〜ん。配達する担当者が勝手にお客様のサインをすることはできませんねーー。ん〜ん。

「なにが、ん〜んだ! 俺がいいっていってんだから置いてけ。なかったらなかったであきらめる」

----わかりました。お客様のサインをいただくことなくそのまま置いていくことができるかどうかを、担当の者からできるだけ早く電話をさせます。

「じゃあ、今日届くってことなんだな」

----それは間違いございません。

「ほんとだな。そこまでいうんなら、俺は届くまで起きてるよ。その代わり、もし届かなくて、寝るのが遅くなって、朝寝坊して仕事に遅刻したらどうしてくれるんだ? え?」

----もし本日中にお届けできない場合は、お詫びいたします。

「このやろ、今日はもう届かないっていうのか?」

----いえいえ、もしもの話です。今日中というのは夜9時までのことですが、多少は遅れることがございます。その場合は事前にご連絡いたします。

「それがな、俺はもう寝るんだよ。だからその事前の電話っていうのには出られないの」

----では、とにかく今日中にお届けすると思っていただいて結構です。

「じゃあ、もし今日中に届かなかったら?」

----その場合は、お詫びいたします。

「おまえが詫びに来るんだな」

----いえ、私はこうした電話の受付でして、お詫びをする場合には、担当の者がおうかがいすることになると思います。

「おまえが来い」

----いや、それはできませんね。私は電話をとるだけですので。

「じゃあ、しょうがねな」

----ところで、お客様は早く荷物をお受取になりたいんですよね?

「あったりめーよ。だからこうしてわざわざ電話してるんだよ」

----であれば、このお電話をすぐに終了して、配達担当のものに、お客様がお待ちですと連絡をしたいのですが、よろしいでしょうか。

「いつ来るんだよ。1分後にか? 俺はもう寝るんだよ? え?」

----ご相談なのですが、最初にお電話をいただいてからもう1時間近くたっております。できれば配達担当のものに大至急お届けするようにと連絡をしたいのですが、よろしいでしょうか。

「うりゃ!」(ガチャン)



あとで調べてみると、この電話がかかって来たのとほぼ同時刻に「配達済み」だったことが判明した。そのとき受け取りのサインを誰がしたのかは不明……。



【この物語は事実のようですがフィクションです】

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